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第3回 干場遺跡 発掘調査
「干場遺跡(ほしばいせき)」
調査期間 確認調査 平成27年9月11日~同年9月18日
本調査 平成28年5月23日~同年6月27日
・遺跡の位置
干場遺跡の位置
・遺跡周辺と調査場所
干場遺跡周辺の古墳群と地形
発掘調査状況
干場遺跡(ほしばいせき)で発見された古墳は、墳丘(ふんきゅう)が削平(さくへい)されており、埋葬施設である石棺(せっかん)が耕作中に偶然見つかり、存在が明らかになりました。
干場遺跡(ほしばいせき)と同様の墳丘(ふんきゅう)が消失した古墳は東側の後田遺跡(うしろだいせき)でもみられ、このような未確認の古墳が複数存在していると考えられます。
墳丘(ふんきゅう)が残っている古墳は、調査地点から東側に市指定史跡である、前方後円墳の(矢印部分)鏑木大神境内古墳(かぶらきたいじんけいだいこふん)、法王塚(ほうおうづか)、円墳の泥内古墳(でろうちこふん)があります。
・古墳
古墳の形状と規模:約20m(メートル)の円墳
(1)埋葬施設
石棺検出状況
石棺(せっかん)は、飯岡石を板状に組み合わせた箱式石(はこしきせっかん)で、石棺内からは、こぶし大の筑波石(つくばいし)が出土していることから、複数の石材で構築されていたと考えられます。
また、石棺材は約3分の2が抜きとられており、盗掘によるものと推測されます。
(2)出土した集積人骨
人骨検出状況
出土した人骨
石棺(せっかん)からは少なくとも4体分の人骨が、埋葬されたままの状態ではなく、頭蓋骨や四肢長骨などの全身に及ぶ骨が一箇所に混在した状態で見つかりました。
人骨を鑑定したところ、少なくとも青年男性1体・老年男性1体・成人女性2体が埋葬されていることがわかりました。
(3)遺跡の特徴
古墳は、副葬(ふくそう)されている刀や飾り金具などが盗掘されていることが多いですが、今回の遺跡の特徴は、盗掘の際、石棺(せっかん)の石まで抜きとっていることです。有用な石材として再利用することが目的と考えられますが、床石(ゆかいし)まで抜きとるとなると、埋葬されていた遺体が邪魔になります。
しかし、盗掘の犯人は、遺体を無下(むげ)にはしませんでした。人骨を端(はし)に寄せ、丁寧に積み上げるように置いてあることから、遺体に対しての畏敬(いけい)の念が伺(うかが)えます。
遺跡の発掘調査により、さまざまな遺物が発見され、その遺物から当時の人たちの生活様式や心の部分まで思いを巡(めぐ)らせることができるよ。
みんなも一緒に考えてみよう。
※墳丘(ふんきゅう):人を葬(ほうむ)るためなどに土を積み上げてつくった盛土のこと。
※副葬(ふくそう):刀や飾り金具など(副葬品)を遺体と一緒に埋葬すること。
「旭市内遺跡発掘調査報告書 干場遺跡(2020)」より